日本財団 図書館


いツベルクリン・サーベイの成績(1986年〜88年実施)があり、これから南北両地域の結核感染の状況を一応窺うことが出来る。これによれぱ年間結核感染危険率は北部(ハノイおよびその周辺)では0.5%、南部(ホーチーミン市)では3%となっており、全国では1.5%になるという。なお、たまたま1958年および1962年当時の成績があり、これから当時から今日までの感染危険率の低下速度を推定してみると、北部では年間2.6%、南部では1.5%となるという。
南北の疫学的較差が現在の感染危険率の水準においても、改善速度においても著しい。この数字を基礎に全国では年間60,000件の感染性の患者が発生していることが推定される。日常業務からの統計により発生する結核患者の様相をいくぶん具体的に知ることが出来るが、これでみると患者の中高年齢への偏りが男女ともあきらかである。
同様の資料を南北間で比較すると次のように、南部では未だに若年者のピークがみられ、結核流行が北に比していわば「若い」状況にあることが知られる。

 

104-1.gif

 

同様に感染危険率に基づく結核死亡は全国では12,000件程度と推定され、これは人口十万対18.7になる。

 

2) 結核対策の歩み
この国の近代的な結核対策は1957年の中央結核研究所Central TB Institute(ハノイ)と結核対策計画本部TB Control Programme(サイゴン)の設立に始まる。その後の不幸な内戦の時期を過ぎて南北の統一後、1976年にはハノイの研究所は国立結核呼吸器疾患研究所Institute of Tuberculosis and Respiratory Diseaseと改組され(以下「結核研究所」と呼ぶ)され、一応全国の結核対策を統括することになった。1980年この研究所の所長として現在のDr Huongが任命されると、従来から援助を行っていたオランダの専門家とともに国際結核

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION